青森県立保健大学 低頻度の訪問リハビリテーションが日常生活自立度に及ぼす長期的効果

 リハビリテーション(以下リハ)資源に恵まれない地域では,訪問リハを利用できず在宅障害者を十分に支援できない場合がある。本研究の目的は,リハ資源に恵まれない地域において,理学療法士(以下PT)が行う低頻度の訪問リハが,対象者の日常生活活動(以下ADL)自立度に及ぼす長期的な効果について前方視的に検証することである。

 

 対象者は,訪問リハ,訪問看護,リハ専門職が同行する訪問指導などのリハ資源がない青森県内5町村の在宅障害者84名であった。うち,介入群57名(平均年齢69.5歳±10.7歳),対照群27名(平均年齢70.5歳±8.4歳)で,全例とも調査開始時点でデイケアや機能訓練事業などのリハ資源の利用はなかった。

 訪問リハは,対象地域の在宅ケア計画に基づき年4~12回ほどの頻度でPTと保健師等の専門職が同行して実施した。介入群では,訪問リハの初期評価時点,訪問リハ終了時点,訪問リハ終了後の非介入期間を経た時点に,対照群では,訪問リハを行わずに3回の時点(以下各群それぞれベースライン時,介入終了時,追跡終了時)で,ADL自立度を測定した。各時点間の平均月数は,ベースライン時と介入終了時の間の期間(以下介入期間)が12.9±7.4ヵ月,介入終了時と追跡終了時の間の期間が45.3±20.3ヵ月であった。ADL自立度は,Grangerらによる修正版Barhtel Index(以下BI)を用いて測定した。平均BI得点の各測定時点での比較には分散分析と多重比較検定を用いた。また,ロジスティック回帰分析により介入がBI得点の変化に及ぼす影響力を調べた。本学倫理規定に基づき研究協力の同意を得た。

 

 各測定時点における平均BI得点は,介入群でベースライン時が65.2±32.4点,介入終了時が70.3±33.2点,追跡終了時が61.9±34.6点であった。対照群ではそれぞれ85.9±22.6点,81.5±26.6点,79.4±23.4点であった。分散分析の結果,介入群では条件の効果は有意であった(F=5.795, p=0.01)。多重比較検定により,平均BI得点はベースライン時に比べ介入終了時が有意に高く(p<0.05),介入終了時より追跡調査時が有意に低かった(p<0.01)。対照群では,3時点間で有意な差があるとはいえなかったが,平均BI得点は経時的に減少する傾向が示された。ロジスティック回帰分析により性別と年齢で調整した結果,介入期間中に対照群に比べて介入群が4.39倍,ADL自立度が維持・向上したことが示された。

 

 

 結果から,月1回~年3回程度の訪問リハとチームアプローチによりADL自立度が維持向上し,中止するとADL自立度が低下することが示唆された。よって,低頻度の訪問リハであっても地域専門職との連携により対象者の支援に資する効果がある。